孤独死現場にハエが大発生、後日談
中央営業所の安田です。
私は孤独死現場の原状回復を主に担当しております。
このような仕事をしていると、一般の皆さんの想像を絶するような凄い状況を体験することは言うまでもありません。
しかし、前回もお話致しました通り、そういう生々しいエピソードを紹介するのはあまり好きではなく、実際にどのような問題が生じ、どのような対処をするのかという実践的な内容に限定しております。
誰かをびっくりさせられるようなエピソードは多数持っていますが、亡くなった方の無念さやご遺族の悲しみ、そして原状回復のために高額な費用での処理を余儀なくされている皆さんのことを思えば、面白おかしく語るということに抵抗があるのです。
尤も、前にも言いましたが、エンタメ的にYouTube等で披露としている同業者さんのことを批判するつもりもないのです。怖い物見たさだったとしても、この孤独死という社会問題に関心を持つキッカケなるなら、それはそれでいいと思うからです。
とにかく一人でも多くの皆さんに実情を知って頂きたい。
そして、孤独死する方が一人でも減って欲しい。
孤独死は正直なところ、今後しばらくは増える一方なのだろうと絶望と共に思っていますが、せめて長期間気付いて貰えずに腐敗してしまうという事例が、少しでも減ってくれたらいいなと思っています。
さて、前置きが長くなりました(笑
そんな私が先般、初めて生々しい現場の状況を投稿致しました。
6/30に投稿しました、ニクバエ大発生の記事です。
今日はその後日談について書きたいと思います。
詳細は是非
孤独死現場に大量発生!
↑こちらを読んで頂きたいのですが、最近作業させて頂いた孤独死現場で驚くほどのニクバエが発生していました。
ニクバエというのは日常的によく見かけるイエバエの三倍以上ある、巨大なハエです。
オオクロバエと比肩して、日本最大のハエと言っていいと思います。
酪農牧場ではよく見かけますが、都市部や住宅地では滅多に見られません。
しかし、孤独死現場では大量発生することが多く、15-20mmもあるような巨大なハエがアパート・マンションの共用部で数匹飛んでいたら、どこかの部屋で孤独死されている方がいるかもしれないと疑ってもいいです。
そして、外から見て、窓にびっしりとこのハエが確認できたら、それはもう間違いないです。
そういう指標とされる存在です。
その現場では、私はホラー映画等以外で、実際にこれだけ大量なハエが発生しているのを初めて見ました。
とても我々のような特殊清掃業者の手に負える次元ではないと思いました。
しかし、子供の頃から昆虫が大好きで、未だにクワガタムシの飼育をしているような、正直ハエですら一匹も殺したくはない昆虫大好きな私は、科学的な仮説を立てました。
「例え何万匹発生していようと、幼虫が育つエサが無いならいずれ絶滅する筈だ」
6/17に幼虫(ウジ)がびっしりと巣食っていたご遺体痕の床部分を切除し、撤去。
6/27に室内にあったものを全て撤去しました。
そして6/28に壁紙と床材の全てを剥がして撤去。
その際、部屋の隙間に何百個ものサナギが居ました。
サナギは防護力の強いカプセルになっていて、通常殺虫剤を噴射しても効きません。ホウキで搔き集めて捨てるしかないのです。
夥しい数のサナギを取り除いてもまだ取り切れてないものが何十個もあるのは分かっていました。
そのサナギが羽化して成虫、すなわちハエになるまで通常、一週間から二週間と言われています。
そこで私は、「今から二週間でこの部屋のハエは居なくなる筈」と予測したのです。
羽化したハエが順次交尾したとしても、幼虫を産みつけられるエサが無いので、これ以上増えることは無いと。
その絶滅Xデーは早ければ床材を撤去した6/17の二週間後の7/1、遅くとも残置物撤去をした6/27の二週間後、すなわち7/11だろうと。
その結果をいつか報告しますと、6/30のブログで結んだわけです。
結果、6/30辺りまでは毎日10匹程度発生していたのですが・・・
7/1には3匹
7/2には2匹
そして7/3に最後の2匹を確認して以降、一切発生せず、その一週間後には脱臭工事も終わり、無事引き渡しとなりました。
これが秋の終わりだったとしたら、サナギのまま冬眠して翌春に大発生という恐れもあるかもしれませんが、夏である今、そんな心配は要らないでしょう。
しかし勿論、あくまでも素人考えであり、「プロの害虫駆除業者に相談するべきだ」という意見もあろうかと思います。
私自身も施主さんに引き渡す際には「あくまでも私個人の見解です」と申し添えました。
その後、例のハエはどうなったの? と、幾つか問い合わせを頂きましたので、今回の記事とさせて頂きました。
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