ブログ投稿・中央営業所の所長の安田です。(^^)
初めて登場致します、中央営業所の安田です。
主に特殊清掃を担当しておりますが、必要とあればなんでもマルチにこなす56歳です。
さて、特殊清掃というと皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。
何やらおどろおどろしい世界で果敢に清掃作業をする男たちの世界というところでしょうか。
私自身、この世界に入る前はかなり偏ったイメージを持っていました。
実際に関わってみて、感じたことを、まとめてみます。
(1)臭気の凄まじさは想像を絶した・・・
初めて先輩に連れられて孤独死のあった部屋に見積もり調査に行った際、ドアから遠巻きに室内を見るだけだったのですが・・・除菌脱臭する前の現場は感染症の危険性が高く、装備無しでの入室は危険なので・・・、ドアを開けた瞬間、凄まじい衝撃波のような臭気を食らい、一瞬にして吐き気に襲われ、気持ちもすぐに挫けました。こんな仕事できるわけない・・・と。
その日は一日気持ちが沈み、あの臭気がずっと残っている感じで食欲もなく、夜も眠れずに悪夢にうなされました。
(2)臭気ってこんなにも消えないものなのか・・・
我々業者が踏み込むときは、既に警察関係者がご遺体を運び出し、現場検証も終わった後になります。
特殊清掃・・・と言いますが、「掃除する」という意味ではさほど困難なことではなく、気合と根性でどうにかなります。
問題は臭気を消すことなんです。
消毒剤や消臭剤をブワーーーッと撒けばそれで解決するだろうと思っていたんですが、実際には薬剤を幾ら散布しても、多少軽減はすれども決してニオイは消えません。
1~2カ月以上経過したご遺体の場合、部屋全体に臭気が染み込んでしまっていて、壁紙は勿論、時に床まで交換しなければならないことも多いです。
大抵の場合、壁紙を剥がしてから本格的な消臭作業が始まると言っても過言ではないんです。
そして、壁紙を剥がして数日脱臭作業をしても中々ニオイが取れないということも珍しくないんですよ。
壁紙の下のボードや建具等等にもしっかり染み込んでしまっているからなんですね。
(3)やるせない思い
孤独死のあったお部屋は、亡くなった方が普通に暮らしていた場所であり、そこに我々は完全防護で踏み込み、薬剤を噴霧します。究極のプライバシーに入り込むわけです。
食料品や日用品をのストックを見て、まだ人生が続くと思って準備していたのだな・・・飾られている家族と思われる写真を見て、家族と幸せに暮らしていた時代もあったんだな・・・等、我々も人間である以上、色々と感じてしまうわけです。
クサイとか汚いとか、そういう部分ばかりクローズアップされる傾向がありますし、実際現場の臭気は本当に辛いのですが、一番辛いのはこの精神的な部分です。
人はいつか亡くなってしまうことは仕方のないことですが、孤独に亡くなって、しかも気付いてすら貰えずここまで放置されてしまったということに、なにか深く感じ入ってしまいます。
「さぞ無念だったと思いますが、我々がしっかり綺麗にしておきますからね」と声に出して言いながら作業しています。
孤独死や特殊清掃は、最近よく耳にするようにはなりましたが、その実情を身をもって知ると様々な社会問題へと気持ちが向いていきます。
この実情を知った我々として、何かもっと社会のためにできることはないだろうか?
そのような問い掛けも生まれてきます。
それで、最近はSNSで、「単身で暮らしている身内や知人の人のことを、今まで以上に気にかけてあげてください」と呼びかけることを始めました。
一方、今では、孤独死はある程度仕方ないのかな・・・と、正直なところ絶望と共に思います。
私の友人が、離れて暮らす老いた父親に、毎日夜に電話していたそうです。
「大丈夫だって、毎日うるせえな」と言われていたそうです。
そして、ある日、いつものように「大丈夫だから」と言われて切ったその翌日、電話に出ないからと遠方まで様子を見に行ったら既に亡くなっていたそうです。どうやら昨夜の電話を終えた直後に倒れたみたいです。
同居していない限り、防ぎようのないことです。
このように、一人で暮らしていれば、なにかの弾みで亡くなってしまうのは避けられないわけです。
しかし、長期間放置されてしまうことで、死者の尊厳は失われ、ご遺族が心を深く痛める事態になり、その後始末に大変な労力と時間とお金を費やすことになり、不動産価値も下がり、更には周囲の住人達にも辛い思いをさせることになります。
せめて、すぐに見つけてあげて欲しい・・・そう願います。
このような仕事をしておりますと、「よくそんな仕事ができるな」とか、「人の不幸を仕事にしていて何も感じないのか」というようなご意見をいただくことがあります。
確かに、楽しい仕事ではないし、何も感じないわけはないし、「孤独死現場の仕事が入りました」と言われて、「よっしゃ、やったるぜ」と、奮い立つ感じになるわけでもないです。
ただ、誰かがやらなければならないことですし、私がその立場になった以上、誠心誠意、貢献できるよう頑張ろうと思っています。
先月、ある深刻な現場で、結果的に一か月以上かけて清掃と除菌脱臭を終え、原状回復工事が完成し、ご遺族に引き渡した際、奥様が「こんなにキレイになって、ニオイもしなくなった」と、笑顔で言ってくれました。この瞬間、私の苦労の全てが報われる思いになりました。
社会に貢献し、誰かの役に立つ仕事なのだ・・・という思い、使命感を胸に、今後も試行錯誤と研究を重ね、続けていきたいと思います。
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