ニオイだけの問題ではない孤独死現場のリスク
中央営業所の安田です。
早いものでもう10月になりましたね。
ようやく全国的に秋らしい気候になってきたようです。
さて、孤独死現場のお話です。
孤独死自体はある程度仕方ないことで、問題は亡くなってから長期間見つけて貰えないことだという話を何度もして参りました。
亡くなって数日であれば、ご遺体の損傷も少なく、異臭も腐敗液の浸潤もありませんから、住宅への被害も僅かで済みます。
それが一か月以上経過しますと・・・
ベッドや布団の上で眠ったまま亡くなるより、床に倒れて亡くなっているケースが圧倒的多いのですが、床の上で腐敗しますと、フローリング等の床材に腐敗液が浸潤し、その下の板部分と断熱材、床を支えている根太という木材まで到達、汚染します。そうなってしまうと洗浄では解決せず、大工工事で全て交換しなければなりません。
それと同時に空気中に、腐敗したご遺体から発生した硫化水素、メタンチオール、アンモニア、カダベリン、プトレシン、インドール、スカトール、フェノール類等、名だたる臭気物質の一大饗宴ともいうべき状態になり、室内の家具家財道具は勿論、壁天井、建具等の全てにしっかり染み込みます。
また、上記の通り、硫化水素、メタンチオール、アンモニア等が発生するわけですが、これらは単に臭気物質ではなく、有毒ガスです。防毒マスクをしないで入室すると健康被害のリスクが高まります。
更には、遺体が腐敗する過程では、さまざまな病原菌やウイルスが発生する可能性があります。特に、血液や体液が飛散している場合、感染症にかかるリスクが高まります。
代表的な例としては、腸内細菌(大腸菌、サルモネラ菌など)が体内から漏れ出し、室内に拡散することで感染リスクを高めます。
また、病原性ウイルスや細菌、例えば肝炎ウイルスや結核菌、その他の感染症を引き起こす病原体が残っている場合、呼吸や接触によって感染する可能性があります。
そのような危険な状態に我々のような専門業者が重装備で入室し、消毒したりご遺体痕を洗浄したり取り除いたり等し、以後、作業員や関係者が安全に出入りできる状態を作ります。
そして、残置物を全て撤去し、クロスを剥がして畳や床も撤去して、空室の状態で何日もかけて除菌脱臭工事を行います。
そして、臭気の問題が解決すると、今度は内装を復旧する工事が始まります。
そんなわけで、復旧までかなりの日数と高額な費用がかかることになるのです。
現在任せて頂いている現場では、死後二週間程度の発覚だったのですが、8月半ばで最も暑い時期だったこともあり、一か月以上の放置と変わらない腐敗の進行だったのだと思われます。
臭気が酷く、そして巨大なハエの発生が凄まじく、隣室のバルコニーや共用部分の廊下にまで影響が及んでいました。
これからの季節は、逆に腐敗の進行が遅いため、真夏よりは発見が遅れる傾向があります。
それでも、身内の方と連絡が取れないとか、あるいはアパートマンションの同じフロアーの人を最近全く見かけなくなった、異臭を感じる、ハエの発生が気になる等ございましたら、迷わず管理会社さんや大家さんに連絡することをお勧めします。
プライバシーが尊重されるようになったのと反比例して、値域の人間関係が希薄になり、それこそが孤独死の一大要因となっているわけです。
気になったらすぐ連絡しましょう!
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